生老病死が人間の悩みのタネだと言われますが、生きる時間が長くなり老いも長くなってきました。にもかかわらず、多くの人が人生に飽きて、「もうこんなに生きたのだから後は受容として死を迎えるだけだ」という境地には到底なりえていないようです。なぜなら、死が意味のないことになってしまったからです。死が意味のないことになれば、生もまた、意味のないことになってしまわざるをえません。悩みの根底にはこの「生きる意味」をめぐる問題があります。人間関係も含めて悩みは尽きず、ほとんどの場合に根底に「生きる意味」がボヤけてしまった私たちの時代の「宿痾」があるようです。悩み相談の例を引きながら、生きる意味について考えます。